医療法人社団 心翠会
精神科・心療内科・内科・訪問診療

うつ病

うつ病とは

うつ病は、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく機能しなくなる精神疾患です。くわしい発症原因は分かっていませんが、脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンといった神経伝達物質のバランスが崩れており、それにより感情や意欲をコントロールできず、気分の落ち込み、意欲低下や眠れない、だるいといった症状が生じると考えられています。日本では、一生のうちにおよそ100人に6人が経験し、女性の発症が男性より1.6倍多いことなどが報告されています。

うつ病の症状

うつ病では、次のような症状が見られます。

精神症状

身体症状

うつ病の治療

うつ病の治療では、まずはしっかり休養がとれるような環境調整が大切です。休学や休職制度を利用し、学校や職場からいったん離れて過ごしたり、入院という環境に身を置いたりすることで、症状が楽になる場合もあります。同時に、脳内の神経伝達物質のバランスを整える抗うつ薬を用いた薬物療法を行います。

ほかにも、患者さん自身の思考パターンやものごとの受け止め方に働きかけ、気持ちを楽にする治療法として、認知行動療法、対人関係療法などの精神療法があります。

さらに、うつ病のより専門的な治療として、脳に電気刺激をあたえる「修正型電気けいれん療法」や、強い光を浴びせる「高照度光療法」などが行われることもあります。

増加する職場のメンタルヘルス問題

近年、わが国においては、うつ病により医療機関を受診する人が増加しており、はたらく人の多くがうつ病などのメンタルヘルス不調に陥っています。その背景には、急激なIT化、能力中心主義の評価制度といった社会の変化や、昇格によるプレッシャー、人間関係といった個人的な要因がストレスとなって不調を来す場合もあるようです。

厚生労働省の労働安全衛生調査(2020年・実態調査)によると、過去1年間にメンタルヘルス不調を理由に連続1ヵ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所割合は、9.2%にも上ります。

そこで近年、一定規模以上の職場では「ストレスチェック」が義務付けられ、うつ病などの精神疾患を理由に休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(通称リワーク)を実施する医療機関、地域障害者職業センターなどが増えるなど、メンタルヘルス不調に対するサポートは進みつつあります。

ただ、休職が長期化したり、勤務体制や人間関係、企業への根強い不安が残ったりしたままでは、本格的な復帰は難しくなります。自宅での療養とリハビリテーションで安定しても、復職したとたんにストレスがかかり、ふたたびメンタルヘルス不調となって再休職に追い込まれるケースは少なくありません。

休職期間が満了すると、退職または解雇となる可能性もあり、年齢やその人のスキル、社会情勢によっては再就職できず、社会復帰を果たせないまま自宅にひきこもってしまう可能性もあります。

するとひきこもりの事実そのものが再就職のハンディキャップとなって、ふたたび社会につながることが容易でなくなります。長期化して中高年、老年期を迎えるケースも増えており、とにかく早い段階で介入を行うことが必要です。

必要な人に、必要な医療を

本人が医療機関を受診することが難しい場合は、まずは地域相談支援センターや保健所といった公的機関に相談することで、専門機関につながり、個々のケースに合った援助や医療の提供を受けることが可能です。

医療法人社団心翠会では、ご本人およびご家族が困っていながらも通院が困難な方を対象に、精神科医療を基盤とした在宅医療を行っています。