医療法人社団 心翠会
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ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)

ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)とは

ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)とは、発達障害の一つです。これまでは自閉症やアスペルガー症候群などと呼ばれていましたが、現在はまとめてASDと呼ばれています。ASDとひとくちにいっても、特性は人それぞれです。場のルールを理解していながらそれに従って行動するのが難しかったり、ある一定のものに強い興味を示したりなどの行動が見られます。ASDがある方は100人に1人の割合でいるといわれており、決して珍しいものではありません。

ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)になる原因

ASDは、遺伝的な要因が大きく絡んで発症するものです。患者さんの40%が遺伝による影響やDNAの欠損や重複、変異などが見られるといわれています。70~90%の確率で遺伝するともいわれており、1人目の子どもがASDだった場合、2人目もASDと診断されることは少なくありません。一卵性双生児と二卵性双生児を比べると、一卵性双生児のほうが3倍もの確率でASDを発症することもわかっています。

ASDの子どもをもつ親は、「育て方に原因があったのでは」と自分を責めてしまうこともあるでしょう。しかし、ASDは遺伝的に起こる脳機能障害のため責任を自分一人で抱え込んでしまう必要はありません。

ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)の症状

ASDの症状としては、次のものが代表的です。

年齢に応じた言語の発達が見られない場合は、親としても不安になるでしょう。欧米では、3歳以下で2語文が出ておらず50後以下の言葉しか発せられない場合は、言葉の発達に後れがあるとみられます。日本でも3歳児健診で2語文が出てこなかったり発音がはっきりしないといった様子が見られるようであれば、再検査となることがほとんどです。

言葉は発するものの、大人が言ったことをそのまま返してくるオウム返しが見られることもしばしばあります。「ゼリーとプリンどっちがいい?」と聞いたら「どっち?」、「何が食べたい?」と聞いたら「食べたい」のように返ってくるのは典型的なオウム返しです。会話の内容がどんどん関係のないことに逸れるいったり、聞いたことと違う答えが返ってくるなど、コミュニケーションが苦手な様子も見られます。予定が突然変更になったり、人の気持ちを理解して行動するのもあまり得意ではありません。

ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)の治療

ASDを根本的に治療する方法は今のところありません。ただし、特定の症状に対して薬で症状を抑える治療が行われることがあります。たとえば、うつ症状や不安には抗うつ薬、不眠がある場合は睡眠薬を使うといった対処方法が代表的です。

薬を使わない方法としては、音楽療法や認知行動療法、社会行動療法などがあります。栄養補助食品を使用しながら治療を行うとASDの症状が改善する可能性があるといわれていますが、こちらに関してはまだ明確なデータがありません。

ASDを治療するというよりは、ASDという特性とどう付き合っていくかどうかが重要です。

人それぞれ効果的な対処法が異なるので、少しずつよい方法を見つけていきましょう。

大人のASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)

大人のASDとは、おもに大人になってからASDと診断されることを指します。仕事を始めてからミスが続いたり周りと馴染めなかったりすることで「もしかしたら…」と思い受診することで発覚するケースが少なくありません。

仕事がうまくいかず頻繁に怒られたり、ミスが続くことで自分を責めたりすることですぐに仕事をやめてしまう方もいます。「どこで働いても仕事が続かない」と悩み、引きこもってしまう方もいるでしょう。

ASDの特性は、うまく活かすことで長所として扱うこともできます。まずは、自分の向き不向きを理解するところから始めることが大切です。マニュアルを重視することが得意な方は経理やコールセンター、数字を扱うことが得意な方はエンジニアやプログラマーなどが向いているといわれています。

必要な人に、必要な医療を

ASDの患者さんのなかには、医療機関に行くことを拒む方もいます。何をされるかわからない、待ち時間が苦手などという理由から苦手意識をもってしまうようです。光や音が苦手な場合は医療機関の明かりや独特の音に嫌悪感を示すこともあります。

通院が難しいと感じる方は、医療法人社団 心翠会の在宅診療を活用してみてはいかがでしょうか。医師がご自宅まで伺うため、ASDの方でもリラックスして診察を受けられる可能性があります。過ごし慣れた自宅で診察を受けるので、光や音が苦手な方でも苦痛を感じにくいでしょう。

通院が困難な場合は、まず地域相談支援センターや保健所といった公的機関に相談してみてください。そうすることで、個々の症状や悩みに合った援助や医療の提供を受けることが可能です。

医療法人社団心翠会では、ご本人およびご家族が困っていながらも通院が困難な方を対象に、精神科医療を基盤とした在宅医療を行っています。